日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

すべての愛がゆるされる島

同性愛、近親愛、不倫などあらゆる愛が許され、全員に祝福される名もない島がある。ただし、教会の扉を二人で開けることができたカップルだけに。本当に愛し合っている二人でないと扉は決して開くことはないのだという。もともとスペイン領であり米西戦争に敗れアメリカに割譲されたが、アメリカのその後の調査でなぜかこの島が見つけられず領有権を放棄。ところが太平洋戦争中に日本軍によって発見され日本領に組み込まれた。。。と、滞在地Guamを想起させてくれるドラマ設定が興味深かった。「存在証明の失敗は不在証明にはならない」「ほんの1ミリグラムの望みは、絶望の千倍つらい」なかなか真理をついた表現もあった。

<「すべての愛がゆるされる島」 杉井光著 メディアワークス文庫