日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

貧困ビジネス

貧困ビジネスとは、貧困層をターゲットにして、短期的な利益を追求する、違法スレスレのグレーゾーンや非合法のビジネスのこと。これまでにも存在していたにもかかわらず、最近になって注目されるようになったのは、貧困層のボリュームが大きく膨らんできたからだ。

例えば2007年でワーキングプアの人数は1308万人といわれている。この人達が一人当たり年間150万円の消費支出をしたとして、その合計は19.6兆円に上る。もちろんこれ以外に全く職を持たない貧困層もいるわけだ。

逆に年収2000万円を超える高額所得者は同じく2007年で161万人おり、この人達が年間1000万円消費するとして、16.1兆円。

つまり、驚くべきことにワーキングプアのマーケットは、富裕層のそれよりも規模が大きいということなのだ。

そうした中で、賃貸契約書ではなく借地借家法の適用されない施設付鍵利用契約書をまき、敷金・礼金ゼロで賃貸住宅に住ませ、わずか1日の延滞で高額の違約金を払わせる「ゼロゼロ物件」や、多重債務者や自己破産者にニセの養子縁組をさせて金融機関から巨額の融資を引き出し大半を搾取する「リセット屋」など、いま貧困層が食い物にされている恐ろしい実態が書かれている。

なんだか世知辛い世の中になったもんである。

<「貧困ビジネス門倉貴史著 幻冬社新書>