日出づる国の片隅で。

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暴力団

暴力団

暴力団
著者:溝口敦
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暴力団に関するジャーナリストとしては第一人者である著者による暴力団論。

暴対法や暴力団排除条例などによって暴力団への締め付けが厳しくなる現在、

暴力団に入るメリットがなくなりつつあるという。

暴力団は悪であり、なくなることがいいと著者は言う。

が、果たして必ずしもそうだろうか。

暴力団とは、そもそもはっきりと組長が誰で若頭が誰で組員は誰と

はっきりと公言して活動していた組織である。

そこにはある種の美学もあり

強盗や窃盗、誘拐身代金要求、組によっては覚せい剤の取り扱いも禁じていたりする。

組織によって一定の統制が保たれていたという側面もあるのではないか。

いつの時代でも社会からはみだす人間がいるものでありそうした人間の受け口になっていたともいえるのではないか。

暴力団にかわって、関東連合OBなどの半グレ集団や、

香港、台湾などのチャイナマフィアなどが跋扈することのほうが脅威を感じる。

そういう犯罪者集団は誰がそのメンバーかもわからず、組織としての統制もなく、

堅気には手を出さない本来のヤクザではなく、堅気を相手に容赦ない犯罪を犯す彼らのほうが危険だと思う。

暴力団員が犯罪を犯せば徹底的に逮捕し法に則って厳しく裁けばいい。

お上が暴力団と一方的に指定した組織に属しているからと言って、

その家族や元からの友人までも「人」として扱わないというのは問題があると思うのだ。

いろんな反論もあるだろうが、僕はそう思ったりするんだけどな。

<「暴力団」 溝口敦著 新潮新書