日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

メジャーリーグのWBC世界戦略

メジャーリーグベースボールMLB)は、スポーツであるにとどまらず今や年間6000億円を売り上げるビッグビジネスなのである。そのマーケットの拡大を目指して始まったのが「野球のワールドカップ」であるワールドベースボールクラシックWBC)だった。といってもサッカーのワールドカップのようにFIFA加盟国が予選ラウンドを戦い、頂点を目指すような方式ではない。WBCは、MLBMLB選手会が共同出資で設立したWBC INCがWBCに関する一切の権利を独占して取り仕切ることになっている。出場国はWBC社による招待制度となっているのだ。例えば、前回のアジア一次ラウンドの主催者はNPBではなくWBC社から興業権を推定12億円で買ったといわれる読売新聞社であった。日本代表選手に一人の選手も派遣しなかった中日ドラゴンズの白井オーナーが「WBCは読売さんの興業」といったのも疑いのない事実なのだ。

確かに問題点の多いWBCであるが、日本のプロ野球チームのようにいつまでも親会社の名前をチーム名に冠しているようなおんぶにだっこの状況より、しっかりと独立したビジネスとしてフランチャイズに根ざしたMLBチームのほうが健全といえるかもしれない。

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