日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

地獄のドバイ

アラブ首長国連邦UAEのドバイと聞いて思い浮かべるのは、世界地図を模した300個の人工島が浮かぶ「ザ・ワールド」やヤシの木をイメージしたリゾート島「ザ・パームジュメイラ」、完成すれば世界最高の建造物「バージュ・ドバイ」などなど、繁栄極める高級リゾート地ではないだろうか? ところがそんなイメージの裏側の負の実態が描かれている。

2007年、「すし職人」として成功することを夢みてドバイへ向かった著者は、しかしすし職人としては就職できず、なんとか肥料会社に就職するが、ドバイ人オーナーの気まぐれで突然、会社が閉鎖される。3年に渡る滞在許可証も労働ビザも居住許可証も持っていたにもかかわらず、そこで連れていかれたのはアブダビ中央拘置所だった。理由は滞在法違反。会社が閉鎖したことによる、スポンサーシップの解除が滞在法違反につながったらしい。訳がわからない。恐ろしい国である。

人口の8割が出稼ぎ労働者が占めるドバイは建設現場で働く人がほとんどのため男女比率が男9人に対して女1人。さらにイスラム教徒は一夫多妻制で金持ちは複数の妻を持つ。必然的に男が溢れる。ということでホモ大国なんだそうだ。おぇっ。

一部のオイルマネーの成金ドバイ人とそこを訪れる世界中のセレブ達、その陰で劣悪な労働環境で働かされている多くの外国人労働者達がいる。その現実に直面した著者のドバイドリームは儚く消え去り、地獄のような体験をしたという笑うに笑えないホントの話。

ドバイへ行くなら大金持ちになってからにしたほうがいいみたい。って行くなってことか。

<「地獄のドバイ」峯山政宏著 彩図社