日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

ふしぎな部落問題

ふしぎな部落問題 [ 角岡伸彦 ] 価格:950円(税込、送料無料)

部落問題について。 エッタや非人といった言葉狩りや、 どこが被差別部落であったかを隠そうとする今の世間の風潮では 部落差別の根本の解決にはならないと思う。 かつて封建時代に穢多や非人という賤民階級の人たちがいて、 そうした人たちが集まって暮らしていた場所があった。 それは紛れもない事実であり、隠そうとしても隠しきれない。 だからといって、そこに暮らす人たち、そうした身分の人を祖先に持つ人を差別していい訳はない。 もし仮に被差別部落の人たちをただそれだけを理由に差別する人がいれば、 そういう人こそ人間として愚かなのであり蔑めばいい。 被差別部落はどこで、だれが、を隠す必要などない。 アイススケートの選手が国際舞台で活躍することと、 彼の祖先に戦国武将がいたこととは何の関係もないように。 また部落問題を突き詰めていけば天皇制に行き当たると僕は思うのだが、 この本の中で「日本で最も血統主義が貫徹されている天皇制はどうなんですか?」 とこの点に触れている点に共感を覚えた。 <「ふしぎな部落問題」 角岡伸彦著 ちくま文庫