日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

竹島 もうひとつの日韓関係史

竹島 [ 池内敏 ] 価格:950円(税込、送料込)

感情論を排した竹島の史実。 日韓どちらの立場でもなく、フラットな視線で領土問題をとらえた作品は興味深かった。 江戸時代、鳥取藩の町人が幕府から渡海免許を受けて 鬱陵島渡航しアシカ漁やアワビ、ワカメなどの採取、樹木伐採などの事業を行っていた。 その際、竹島へ立ち寄ることもあった。 が、のちに幕府は鬱陵島は朝鮮領と認め、渡航を禁止した。 1905年、大日本帝国竹島島根県に編入。 終戦後、李承晩ラインを設定して以降、韓国の実効支配が続く。 現在、日本外務省の公式見解では 日本に都合の悪い史実については徹底して無視している。 韓国の立場からすれば竹島は韓国領と宣言する気持もわかる。 しかし、だからといって古来から韓国領であるとは言えない。

確かなことは、竹島が日本固有の領土などではないことは明らかだ。 「固有の領土」という言葉の公式見解が、時代によってかわっていることも潔くない。 日本は、正しい史実に基づいて正論で領土問題を語るべきだと思う。 でなければ、尖閣諸島をわが領土と 無茶な主張をする中国を責めることができなくなってしまうからだ。 <「竹島 もうひとつの日韓関係史」 池内敏著 中央新書>