日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

秘録東京裁判改版

秘録東京裁判改版

秘録東京裁判改版
著者:清瀬一郎
価格:926円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

極東国際軍事裁判において 東条英機被告の主任弁護人を務めた著者による秘録。 これまで東京裁判に関する書物はいくつか読んできたが 実際にその場にいた人物だけに真実味は他の追随を許さない。 昭和42年に出版されたものだが、 多数被告を代表してなされた冒頭陳述の全文も併載されており貴重な書だ。 世間的には優柔不断な男とのイメージが先行している東条英機の 意外に潔く武士道精神に満ちた日本男児的な人間性も覗える。

東京裁判のような復讐劇を興行して、永遠の平和はころげ込むものではない。 原爆禁止条約ができたり、各国家において憲法や法律で戦争を否定しても 核を手に入れた人間は究極的にはこれを使用する危険がある。 では永久平和はどうすれば実現するのか。 著者は言う。 人類の助かる道はただひとつ、人間性の変換をはかる外ない、と。 人間の心の内より戦争を否認するよう教化、訓育し、 それを数世代数十世代継続すれば不可能ではないだろう、と。 いやいや、実に正論だと思う。感銘した。 <「秘録 東京裁判」 清瀬一郎著 中公文庫>