日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

貧困大国アメリカ?

資本主義先進国アメリカでは今、どんな問題が起こっているのか。前著に引き続き、恐ろしくも興味深い現実がわかる一冊。リーマンショック以降、アメリカでは大学の学費が次々と値上げされ学費ローン制度が改悪され学費ローン破綻者が急増しているという。また長期的な展望なく任期中の利益追求のみ要求される大企業経営者の企業経営の失策により企業年金が崩壊し死ぬまで働き続けなければならない高齢者の貧困層が増大。さらに国民皆保険制度のない中で、政治家に多額の献金を続ける保険業界・製薬業界ロビイストのいわれるがままの政策によってまともな医療が受けられない現状など。高等教育を受け健康的な生活を送りマイホームを取得する、という中流階級のアメリカンドリームは、サブプライムローン問題後既に崩壊してしまっているのだ。なんでもかんでもアメリカの言うなりの日本の将来が不安になってくる。

<「ルポ貧困大国アメリカ?」 堤未果著 岩波新書