日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

パール判事の日本無罪論

極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判において、ただ一人、被告人全員無罪を主張したインドのラダ・ビノード・パール判事。彼の理念、主張をわかりやすく伝える一冊。そもそも戦勝国が戦敗国の軍人、閣僚を一方的に断罪することの矛盾は明らかだ。ドイツのニュルンベルグ裁判と同等に扱われたが、延々と続いたヒトラーナチス独裁政権下の謀略に対して満州事変から終戦に至る間に18回も政権が交替した日本とは状況が全く違う。平和に対する罪と言うなら、広島・長崎に無差別殺戮兵器である原爆を投下したアメリカに罪はないのか、と。後にマッカーサーですら過ちであったと発言した東京裁判について、日本人はあまりにもおとなしすぎるのではないか、と著者は言う。戦争そのものが人類にとって、地球にとって大きな罪だと僕も思う。

<「パール判事の日本無罪論」 田中正明著 小学館文庫>