日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

1997年から2011年までの村上春樹のインタビュー集。 作品で言えば「アンダーグラウンド」刊行から「1Q84」まで。 僕が文庫の「アンダーグラウンド」を読んだ場所が奇しくも12年前の阿嘉島であり、この本を読んだのも。 不思議な感覚。

戦後、日本人はみな貧しかった。豊かになれば幸せになれると思ってみんな一所懸命働いた。 そして日本人は豊かになった。でも、豊かになることは必ずしも幸せではなかった。 そんな混沌とした時代が今なんだろう、と。 そういう著者がお金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、 時間と自由であると答えている。 なるほどなあ。

長編小説を書くときにストーリーは決まっていないのだそうだ。 まるで夢を見ているかのようにそれは展開していくのだそうだ。 既に60歳を超えた著者の愛読者は20代、30代というのも不思議なものだ。 <「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」 村上春樹著 文春文庫>