日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

満洲の歴史

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広大な土地と豊富な資源。

満洲へ渡れば給料は日本の2倍以上になったという。

夢と希望に満ちた傀儡国家は、けれど厳しい現実があり、日本の敗戦と共に崩壊した。

この本の帯には「日本人のためのまったく新しい中国東北史」とあるが、決して日本の植民地支配や日中戦争を美化したものではない。

五族協和を謳いながら、現実には日本人だけが優遇され、他の民族が差別されていた事実も書かれている。

かといって、戦後、東京裁判や「我が半生」で日本の占領政策を懐疑の目でみていたと述べた愛親覚羅溥儀が、実は日本を訪問し皇室と交わり一体化することで自らの権力の確立をはころうとしていたとも。

(「<満洲>の歴史」 小林英夫著 講談社現代新書