日出づる国の片隅で。

本の話から日常の話まで

「この人、痴漢!」と言われたら

タイトルは痴漢という軽犯罪だが、強盗や殺人など重犯罪なども含めた冤罪事件の数々を綴った作品。これを読んで思い浮かべたのが、先日、最高裁で死刑が確定した和歌山カレー事件と裁判員制度のこと。和歌山カレー事件は、まず動機が不明のままであり物的証拠もない、被告の自白も皆無である。僕的に見れば、限りなくクロに近いグレーといったところなのだが、疑わしきは罰せずの法則に則れば無罪ってことになるのではないか、と。また仮に僕が裁判員に選ばれてたとすれば、被告に対して死刑を言い渡すことなんてできるだろうか、と思う。死刑執行された後に別の真犯人が出てきたら取り返しがつかなくなるだろう。冤罪の可能性はゼロではないのだから。そういう意味で裁判員には、例え選らばれてもなりたくはないなあ。逆に僕が冤罪で犯人にでっち上げられてたとして、素人の裁判員に裁かれることの恐ろしさを痛感した。最もプロの裁判官であれ冤罪はあるわけだけれど。

<「『この人、痴漢!』と言われたら 冤罪はある日突然あなたを襲う」粟野仁雄著 中央公論新書>